こんにちは、TVer のデータ分析をしている高橋です。
こちらは TVer Advent Calendar 2025 の15日目の記事です。
採用面接やカジュアル面談をしていると、TVer の分析業務についてあまり認知されていないという実感があります。
そこでこの記事では、「よく聞かれる質問」ベースで、実際どのように働いているのかをまとめてみました。
組織について
私は現在、TVer とビデオリサーチによる合弁会社である TVer Data Marketing(以下 TDM) のデータシステム部に所属しています。
元々TVer内にあったデータシステム周りを担当する部署が、今年の4月にまるごとTDM に移った形になります。
データシステム部ですが現在6名(プロパーのみ、マネージャー含む)、データエンジニアなども所属しています。
そのうち分析担当メンバーは、
- プロパー: 1名
- 業務委託: 3 名
の少数精鋭チームで動いており、主に TVer の事業部全体の分析支援を依頼ベースで担っています。
データ分析支援の依頼について
どこから依頼が来るか
事業部での施策推進においてデータが必要になる場面は多いため、依頼元は多岐に渡ります。
| 役割 | 主な依頼内容 | 例 |
|---|---|---|
| PdM | 新機能の評価、仮説検証 | UI変更の効果測定 |
| ディレクター | ログ設計、基礎分析 | 新機能の計測用ログ設計、各種機能の利用状況把握 |
| マーケティング、CRM | キャンペーン施策、Push 通知施策の評価 | Push・メルマガ配信セグメントの提案 |
| 事業戦略 | KPI設計 | 次期KPI策定に向けた基礎調査、KPIツリー提案 |
| 放送局 | キャンペーン施策評価 | SNS施策のコンバージョン計測 |
単発依頼のものもあれば、長期的に施策をフォローするものもあります。
Push 配信施策については、ツール導入初期から評価設計やデータ連携の整備に継続的に関わっています。
TVer では分析作業が分析チームに閉じておらず、ビジネス側も SQL や Redash を使って自ら分析するような対応が広まってきています。
なので社内で発生する分析業務を全て担っているわけではなく、
- 複雑なクエリを書かないと分析出来ないとき
- 効果検証など専門性が必要なとき
- そもそも何を分析したらいいか分からないとき
といった場面で分析チームに依頼が寄せられるように感じます。
依頼が来るタイミング
施策は次の図のようなステップに分解できます。
どのステップで相談が入るかは施策や担当者によって大きく異なります。
分析担当者は依頼を受けた段階で コントロールできる範囲 を明確にし、その中で最適なアウトプットを設計するようにしています。

データの面白さ
TVer のデータはとにかくめちゃくちゃ面白いです。
行動ログの粒度が細かい
行動ログは大きく分けると 3種類あります。
| ログの種類 | 発火タイミング |
|---|---|
| 画面遷移ログ | HOME 訪問、マイページ訪問など画面が切り替わるタイミング |
| イベントログ | コンテンツのクリック、お気に入り登録など |
| 視聴ログ | 再生開始、停止、シーク移動、一時停止・再開、視聴終了など |
これらを組み合わせることで例えば、
- マイページの絞り込み機能の利用状況と、利用時のエピソード到達率
- HOME から再生までのファネル分析
- おすすめ欄経由再生のプリロール突破率(広告視聴体験の分析)
などユーザーの行動を非常に高い解像度で追うことができます。
自社開発ログで突合しやすく、分析しやすい
ログは全て自社で設計・開発しています。
そのため、
- ログ仕様が統制されている
- 各種テーブルのスキーマ構造が統一され、横断的に扱いやすい
- 画面遷移ログ × イベントログ × 視聴ログをきれいに突合できる
といった特徴があります。
結果として、前述のような分析をシンプルなクエリで素早く行えることが可能になっています。
自社開発ログのポリシーについてはこちらの記事が詳しいです。
TVer におけるログ収集のポリシー (1/2) - TVer Tech Blog
TVer におけるログ収集のポリシー (2/2) - TVer Tech Blog
社会インフラ級のデータ規模
TVer は社会インフラレベルの事業規模のサービスであり、日々数十億規模のログが収集されています。
膨大なデータと多様な切り口があるため、探索的な分析がいくらでもできます。
まだ活用しきれていない領域も多く、分析者として腕の振りどころが非常に大きい環境です。
放送 × 配信のデータを扱える
TVer では配信の視聴データだけでなく、テレビ放送の視聴データも収集しています。
そのため、
- 放送番組の見逃し視聴の行動分析
- 裏被りの時間帯の視聴行動パターン
など、テレビ視聴と配信視聴のクロス分析が可能です。
ここは動画配信サービスの中でもかなりユニークなポイントです。
チーム文化
分析チームは、少人数ながら以下の文化が根付いています。
相互レビューとオンボーディング
クエリ/ロジック/分析の方向性を相互にレビューし合い、どんな依頼でもアウトプットの品質を上げられるようにしています。
新しくジョインした方には、オンボーディングとしてログ仕様や BigQuery、Redash の使い方、過去の分析例などを共有しつつ、最初の分析はレビューを通じて一緒に進めています。
相互レビューを通じて SQL や分析設計のスキルが身に付くので、自然と出来ることの幅が広がっていきます。
分析定例
社内の「データ分析に携わる人」「データ分析に興味ある人」が集まり、
- 業務で実施した分析内容の共有、相談
- 参加したイベントの紹介
- 最近読んでる本の紹介
など、ゆるい勉強会も兼ねて知見を共有し合っています。
現在は隔週で実施しています。
データの流れを理解する
分析チームでは、
「データ分析をするなら、データが"どこで、どう生まれ、どう流れてくるのか" を理解するべき」
という考え方を大切にしています。
ログを扱う時、
- どの操作/どのタイミングで発火するのか
- どのように収集されるのか
- どのような処理が行われてテーブルに入るのか
を理解しているだけで分析の質がまったく変わります。計測ミスや解釈のズレにもすぐ気付けるようになります。
そのため分析官でもデータパイプライン構築などいわゆるデータエンジニアリング領域の業務に挑戦することが可能です。
(自分も昨年データマート基盤を開発しました)
このあたりの "領域横断" な雰囲気は小規模チームならではの魅力だと思います。
おわりに
ここまで紹介したように業務の大半はアナリスト的な業務ですが、最近はデータサイエンス寄りのことも少しづつ挑戦しています。
- Push 向けのレコメンドモデル
- 再生回数・お気に入り数の予測モデル
- 分析エージェント構築
これらは、事業部から「これ作って!」という明確な依頼があるわけではなく、なんとなく課題っぽいものを拾って形にしたり、完全に興味ベースで始めたプロジェクトもあります。
まだ検証段階ですが、少しずつ実用化に向けて動いているところです。
TVer は事業規模もデータの厚みも大きく、やろうと思えばもっといろんな領域に挑戦できると思います。
もしこの記事を読んで、
「こういう分析やってみたいかも」
「このチームでデータ活用を進めてみたい」
と思っていただけたら、ぜひ一度カジュアルにお話ししましょう。
まだまだやりたいことがたくさんあるので、仲間が増えると嬉しいです。