テレビ局の技術職がTVerのPMに挑戦

1.はじめに

TVerで、プロダクトマネージャー(PM)としてプロダクト戦略/開発を担当している松村です。こんにちは!

こちらは、TVer Advent Calendar 14日目の記事となります。

前回は、@fujioka_さんの「Google Cloudのコストレポートで急に利用料が0円になった話」でした。

TVerの掲げているMissionを最初に。

TVer コーポレートサイトより

2023年10月にテレビ局からTVerに出向して約1年強、TVerというサービス/プロダクトが、どんな体験をユーザーの方々に提供していくとワクワクする未来に近づくのか、考える日々です。

TVerでPMという職種に挑戦する中で頭の使い方がガラッと変わったので、そんな話ができればと思います。

※本記事は 会社の意見・方針を反映したものではありません。あくまでも個人の意見・感想ですので、ご了承ください。

2.いままで

新卒でテレビ局に技術職として入社し、番組制作現場なども経験したものの直近4年は動画配信に関する仕事をしていました。

具体的には、

  • 動画配信コンテンツを管理するシステム(CMS:ContentManagementSystem)のリニューアル

  • TVerでリアルタイム配信を実現するためのシステム設計/構築

  • 大型スポーツ番組のライブ配信システム設計/運用

などの技術的なディレクションとプロジェクトマネジメントです。

自局で制作した番組をTVer等の配信プラットフォームに届ける、という立場で、それをいかに効率的に、早く、正確に、そして安全に達成するか、“How”を考えることが多かったように感じます。

3.TVerでの1年間

TVerでも、もちろん“How”を考える時間もありますが、“What”“Why”が頭を占めることが多くなりました。

現在、私は縁あってプロダクト戦略を考えるUIUX戦略チームにジョインし、PMとしても働いています。 私の主担当は、「新しいコンテンツとの出会い」という切り口で、レコメンドを軸としたプロダクト戦略/施策の推進です。

レコメンドと言っても推薦システム/アルゴリズムだけを指すのではなく、“ユーザーが今見たいもの"を適切なタイミングで適切な場所に表示するUIUX改善を広義のレコメンドと捉えています。

UIUX戦略チームでは、

  • ユーザーの方々がTVerに何を求めていて(What)、それはなぜか(Why)

  • ↑を達成してもらうにはTVerというプロダクトが何を提供すべきで(What)、それはなぜか(Why)

を徹底的に考えます。

この頭の使い方は個人的に新鮮で、エンジニアやデザイナーからPMにキャリアチェンジした方も似たギャップを感じるのではないかと想像します。

また、TVerのプロダクト開発現場ではRedashの分析環境が整っていて、データ分析チームと一緒にデータを見ながら仮説を立てて施策を考えていきます。 24年度下期には、まず

  • アプリ起動から再生に至るまでのユーザー行動(経路)

  • 再生中の離脱行動

  • 再生後のユーザー行動(離脱含む)

にフォーカスしたファネル分析を実施。その結果から、“What”と“Why”を突き詰めて施策を検討します。

直近では、以下の仮説を立て、トップ画面にある視聴中の番組コンポーネントを優先的に磨いています。

  • 仮説① ユーザーは、動画を鑑賞する時間が限られているため(Why)、起動してからできるだけ短い時間で視聴途中(かつ最後まで見たいと思っている)作品に到達したい(What)

  • 仮説② ユーザーは、視聴途中(かつ最後まで見たいと思っている)作品を配信終了期限までに見たいので(Why)、起動した際のファーストビューにそれらが見やすく表示されていてほしい(What)

まず第一弾として、“トップ画面で視聴履歴を削除できる機能”(What)をリリースしました。視聴途中だがもう見る予定のない作品をその場で削除できることで、最後まで見たいと思っている作品がより視認しやすい位置に表示されると考えたからです(Why)。

添付画像の3点リーダー(赤丸内)をクリックすると簡単に削除できます。リリースしてから一定期間が経過したので、これから効果検証をしていくフェーズに入ります。

視聴中の番組コンポーネント

そして、第二弾以降も様々な機能リリースを計画しています。

4.これから

TVerの掲げるMissionを改めて。

「テレビを開放して、もっとワクワクする未来を TVerと新しい世界を、一緒に。」

“テレビの開放”って良いなぁと感じます。個人的にも好きな言葉です。

2024年夏時点で、全国100以上のテレビ局の2,000以上の番組を、場所や時間から開放した形で、インターネットの世界に配信しています(リリース記事はこちら)。

私自身の2025年の抱負は、“開放”の先に、誰がいつどこでTVerを開いてもこれらの番組を最適なカタチでお届けできるようにすることです。(まだできていないコトが多すぎる...!)

映像コンテンツが世に溢れかえり、視聴デバイスも多様化する中で、テレビ番組やテレビデバイスに触れていたとしてもテレビ自体を意識することは少なくなってきているかもしれません。

だからこそTVerは、テレビをアップデートし、新しいエンタメ体験を開拓していきます。

皆さま、今年も1年お疲れ様でした。 最後まで読んでいただきありがとうございます。 2025年のTVerにもご期待ください!

明日は@kanataxaさんの「Backend Enabling Teamができて半年くらい経ちました」です。お楽しみに!!!