1、はじめに
この記事は、TVerアドベントカレンダー23日目の記事です。
22日目の記事は@a-matsuoka-tverさんの「大規模サービスを支える小さな開発組織のプロダクトマネジメントチャレンジしたこと」でした。
皆さん、こんにちは、コネクテッドTV(以下CTV)に関するビジネス領域を担当している井出と申します。 業務内容としては、毎度説明に迷うのですが、 すごくシンプルにいうと業務内容としては、TVer(特にCTV)を商材とした営業です。 TVerに関わる全ての人が作り上げているTVerをよりパートナー様にとって価値を感じてもらえるよう、 日々TVerの市場における価値向上に努めています。
去年書いた記事はこちらです。
そもそも、CTVってなんやねんという方向けに補足させていただくと、
CTVとは、テレビ自体がインターネットに接続されているスマートテレビはもちろん、 Fire TV、Chromecastなどのストリーミングメディアプレイヤー、 PlayStationやXboxなどのゲーム機、プロジェクター、セットトップボックスなどの外部機器を接続している場合のテレビも含んでいるものを指します。 (※TVerはゲーム機にはまだ対応しておりません、ごめんなさい!) 自分の家のテレビや、モニターがインターネット接続に対応していない場合も、外部機器を接続することで、コネクテッドTVとして、動画サービスなどのエンタメを堪能することができます。
2、今日は何の話を?
去年はCTVの概要から、TVerにおけるCTVの位置付けなどについてお話ししました。
今回は、その続き及びCTVにまつわる世界の流れなどについて書いていきたいと思います。
具体的には、
について書いていきます。
3、CTVの概況
①CTV市場の状況
TVは市場としても拡大しており、 下記の記事では、
近年、動画ストリーミングや見逃し配信の視聴者数の増加に伴って、CTVの普及が進んでいます。テレビ端末のネット結線率は、2015年に東京50Km圏の24.5%でしたが、2021年には半数の50%を突破。2023年には59.6%まで上昇しています。2015年からの9年で2.4倍増と、着実に増加していることが分かります。
「コネクテッドTV(CTV)とは?」今さら聞けない!基本の『キ』|VR Digest plus メディアとビジネスのミライを見つめる。 | ビデオリサーチ
と書かれている通りに、約60%がインターネットに接続されたテレビ、つまりCTVとなっています。
普及が進んでいるアメリカにおいては、
Leichtman Research Groupの調査によると、米国のTV世帯の87%がなんらかのCTVデバイスを少なくとも1台所有していることが明らかになっています。この数字は、2020年の80%、2017年の69%、2012年の38%から劇的に増加している状況です。
と実に、90%近くがCTVとなっているようです。急速に伸びている背景には、NetflixなどのVODサービスの普及の影響が強いとは思いますが、 アメリカの潮流は少し先の日本と考えられますので、日本も近い将来こういった流れになると考えられます。
②CTV広告を取り巻く状況について
サイバーエージェント社の調査によると、動画広告の市場は、2024年には7,209億円の市場規模になる見込みで、
「コネクテッドテレビ向け動画広告需要は昨年対比137.0%となる740億円と、市場全体の成長をけん引する高い成長を遂げています。」
とのことで、急成長を遂げていることがわかります。
サイバーエージェント、2023年国内動画広告の市場調査を発表 | 株式会社サイバーエージェント
アメリカにおいても、状況は変わらず、伸びていますが、CTV広告を取り巻くプレイヤーに変化がみられています。 従来CTV広告は、主にメディアや、広告代理店が販売していたものでしたが、 昨今では、小売企業、つまり、リテール企業が参入しています。
日本でいうリテールメディアというと店頭にあるデジタルサイネージなどを思い浮かべると思いますが、 アメリカでは少々状況が違います。
アメリカで、リテールメディアというと、店舗での広告はもちろん、検索広告、ECサイト上での広告など全てを含みます。
ここで、急速に広告ビジネスを伸ばしているウォルマートの例をご紹介したいと思います。
大手スーパーチェーンであるウォルマートは、自社の購買データとマッチさせ、広告を表示させるビジネスを展開してきました。
ここにさらなるビジネス展開として、テレビメーカーのVIZIOを買収しました。
なぜ、テレビメーカーを買収したかですが、プライベートブランドでの販売の拡充ではなく、 CTV広告を自社で売りたいという意図があるようです。
対象となるのはVIZIOのTVを所有しているユーザーであり、 広告バイヤーに対してはウォルマートのデータとVISIOのデータを組み合わせて分析し、より精度の高いターゲット広告を売ることができます。
例えばテレビでセサミストリートを見始めて、ウォルマートのECでは子供服やおむつを買い始めた人がいた場合、 ウォルマートは、ウォルマートのECや、VIZIOの双方のデータを合わせて分析しながら、 その特定ユーザーに対して、セサミストリートが好きな子供がいるユーザーとして、 ターゲットを絞った広告を双方で配信できるようになるため、広告主としてはより効率の良い配信ができるようになります。
ウォルマートのように、買収までいかないまでも、自社で持っているデータを活用し、 アメリカのリテール企業は、自社広告だけでなく、 他社広告であるCTV広告を販売することで広告ビジネスを急速に成長させています。
この背景には、3rdPartyのCookie規制も強く影響を与えており、 1stPartyでデータを持っているリテール企業が強みを活かしているというところがあるようです。
日本においては、まだまだ店舗が強いリテール企業が多く、ECサイトの広告ビジネスまで手を回せていない印象がありますが、 アメリカの例を参考に今後増えていくかもしれません。
リテールメディアの事例については、下記で詳しく解説されているようですので、気になる方はご覧ください。
余談ですが、セブン-イレブン・ジャパンの方がリテールメディアについて語られている記事もありました。 リテールメディアについて気になる方はご覧になってみてください。
③テレビに準じたエンターテインメントデバイスについて
スマートフォン/タブレット、PC Webサイトに加えてCTVが登場しましたが、 スクリーンを持つデバイスは他にもあります。
例えば、EchoShowなどのモニター付きのAIスピーカー、コネクテッドカー、VRグラスなどが挙げられます。
AIスピーカーについて
AIスピーカーにはすでに一部端末で、TVerは対応しており、EchoShowでTVerをご覧いただけます。 ぜひ、キッチンや、寝室などAIスピーカーを置いている場所で、ご活用ください!
コネクテッドカーについて
車載については、世界の車がインターネットに接続されるようになり、コネクテッドカーと言われるようにもなりました。 当初は、カーナビや車のOSなどの車の機能に関するアップデートなどに用途は限られていましたが、 5Gの登場で、高速化が始まり、車内でのVOD視聴ができるようになりました。
韓国企業であるLGも運転席のモニターはもちろん、後部座席でのエンタメ体験ができるソリューションを出す予定です。 Press Release | LG's Advanced Automotive Content Platform Features in Kia's Newest Electric Vehicle
後部座席は第二のリビングのようにくつろぐためにはエンタメは欠かせない存在になってきそうです。
VRゴーグル
VRグラスについても、メタ社の「Meta Quest」シリーズや、ByteDance社の「Pico」シリーズ、ソニー社の「PlayStationVR」シリーズに 加え、2024年は、Apple社が満を持して投入したVisionProなどもあり、 各デバイスでエンタメを楽しめます。
苦戦しているイメージのVRですが、2024年は上向くことが予想されているようです。 世界AR/VRヘッドセット市場、2023年第2四半期は44.6%減--2024年に上向き46.8%増へ - CNET Japan
4、TVerのCTV状況
①TVerのCTVデバイス対応状況
スマートテレビで9社、ストリーミングメディアプレイヤーで2社、プロジェクターで3社、セットトップボックスで3社 が去年執筆時の対応状況でしたが、 現在では、ニトリ様販売のAndroidTV、MAXZEN(マクスゼン)、スカパー!+ネットスティックが加わり、20メーカーへの対応ができております。
スカパー!+ネットスティックにはTVerボタンも搭載されています。
この記事をご覧になっている方々のお持ちのデバイスももしかしたら、対応しているかもしれません。 ぜひ、TVerをCTVデバイスでお楽しみください!
②TVerにおけるCTVの立ち位置のその後
今では、リリース当初1.9%ほどだったデバイス別再生割合は、2023年1月には、31%達し、
2024年10月には、36.9%と20倍以上に成長しました。
TVerを使う3人に1人以上は、CTVを利用して、視聴しているということになります。
また、再生数も、
パリ2024オリンピック™や、ドラマのヒットを追い風に、1.5億回を突破しました。
5、TVerにおける私の仕事の近況
私は、冒頭触れた通り、TVerでCTVのマーケティング領域に限らず、 BizDevをメインに担当しています。 具体的には、 * 各メーカー様とアライアンスの調整 * CTV領域の外部へのマーケティング活動全般 * 社内のCTV関連部署との連携
などを行なっております。
マーケティング面での効果最大化、効果検証(CTVの出稿はまだまだ未成熟で計測できないことも多いので、試行錯誤しています)などの 挑戦はもちろん、CTVにまつわる全ての部署、プロジェクトとの連動性を持って、 TVerのCTVグロースのために日々社内外の皆さんにお力を借りて奮闘しています。
6、おわりに
最後に去年書いたことを改めて記したいと思います。
自分自身の思いとして、 自分の仕事を通して、エンドユーザーに、 感動体験を届けることを仕事の軸にしています。 TVerでもたくさんの感動をユーザーに届けられるよう仕事に取り組んでいます。 UIUXの改善、リモコンボタンからのダイレクト起動、作品との出会い、など TVerのCTV体験を今よりもよく、 そして、テレビを解放するために、日々邁進してまいります。 ぜひ、CTVの領域にも注目してみてください!
ちなみに採用も頑張っています、ご興味ある方はぜひ! カジュアル面談しましょう! herp.careers
以上です。長々と稚拙な文章にお付き合いいただきありがとうございました。 また、別の話題でどこかで書いてみたいと思います。 引き続き、TVerを宜しくお願いします!
明日は @ayt_szkさんの「AWS re:Invent 2024に1人で参加してきました」です。お楽しみに!!!