Backend Enabling Team ができました in TVer

はじめに

こんにちは。TVerでバックエンドエンジニアをやっている伊藤(@kanataxa)です。

TVerをより多くの方に利用していただくために、バックエンドチームでは機能開発と並行して開発サイクルの高速化や品質向上にも取り組んでいます。

その中で2024/7に組織変更が行われ、「開発サイクルにフォーカスする」ことを目的としてEnabling Teamが立ち上げられました。 今回はそのEnabling Teamについてです。

TVerのバックエンドチームの現状と合わせて、これから何をしていくのかを書いていきたいと思います。

TVerのバックエンドチームの現状

バックエンドチームはTVerサービスの内製化に向けてできたチームです。2022/4にリニューアルが行われたので、まだできて数年の歴史の浅いチームです。 またサービス規模に対して当初は数名ととても小さなチームでした。

このような状況のため、日々の開発の中で犠牲にしなければならなかったものも多く、属人化を許容し、いくつかの要件もサービス特性的に致命でない部分に関しては割り切らないといけないこともありました。

しかしながら、この2年でチームは拡大し十数名のエンジニアが所属することとなり、ようやくいくつかの開発を複数人で行えるようになってきました。 そしてサービスの成長やあり方の時間的変化に伴い徐々に組織的に開発を行うことが求められ、これらの諦めてきた部分が機能開発において大きな障壁になりつつあります。 暗黙的な何かが大きくなってしまい、新規メンバーの初速が出にくくスケールが難しい状態になっているのです。

サービスを成長させていくためにもまだまだチーム拡大を行いたいという想いもあり、認知負荷の軽減や、よりデファクトスタンダートに則った開発サイクルが強く求められるようになってきました。

なぜEnabling Teamを立ち上げるのか

TVerのバックエンドチームの現状 でも述べたとおり、より多くの機能開発をはやく行うには抜本的に開発サイクルを見直す必要が出てきました。 その課題にフォーカスを当てることのできる組織体系にしようとした結果、Enabling Teamが立ち上げられました。

将来的にはよりTeam Topologiesにあるような組織を目指したいと考えていますが、現時点ではより限定的な課題に対して「バックエンドエンジニア×リードタイム」の最適化を目指すためのチームです。

つまり、機能開発チームがメンバーの能力になるべく依存しない状態で、より多くのサービス課題に注力できるように「当たり前を整備していく」ためのチームです。

TVerにおけるEnabling Team(2024/7時点)

まだまだ数名の小さいチームであるため、役割を限定的にしつつ中長期的なゴールを定めています。 そのゴールを達成するために、今期はなにをやる/やらないのかということを半期に1回見直すこととしています。

2024/7時点での取り組みを以下でいくつか紹介します。*1

目の前に積まれた課題を消化する

バックエンドチーム全体の課題として、リリース時にオミットしたものが多く存在しています。 チーム全体の開発サイクルを最適化するには、これらの課題の多くを消化する必要があります。*2

今は高度な技術の導入・検証より、当たり前の世界を作るために手を動かすことを重視しています。

ドキュメント駆動の開発の推進

「なぜ」の部分が残っていないと意思決定を把握することが途端に難しくなります。 そのためEnabling TeamではADRによるドキュメント駆動での開発を行うこととし、機能開発チームに対してはDesign Docの導入推進を行い、テンプレート作成等の支援を行っております。

またドキュメントのメンテナンスコストをそのまま開発コストに転換できるような、OpenAPIやDDLに対するスキーマ駆動開発の導入も進めています。

余談ですが、TVerのバリューのうち1つ「我々は仲間である」と関連させて、「未来の仲間への投資」としています。

開発サイクルの計測の準備

目の前の課題もいつかは終わりが来ます。その後を見据えて「開発」に対してどのような計測ができるのか準備を進めています。

3つほど紹介させていただきましたが、他にも監視通知やアプリケーションログ・エラーの標準化、GitHub移行など開発の足回りの整備を進めています。 またSREと連携してトイルの撲滅や、New Relicをより活用するための実装支援や仕組み作りも今後行っていく予定です。

おわりに

今回はTVerのバックエンドチームにおけるEnabling Teamの立ち上げについてざっくり書いてみました。 まだまだ小さく歴史の浅い組織で課題が山積みですが、サービス成長を支えるべく、よりよい技術組織を目指して日々取り組んでおります。

TVerではエンジニアを積極的に採用中ですので、 TVerのミッション「テレビを開放して、もっとワクワクする未来をTVerと新しい世界を、一緒に。」に共感いただける方、ぜひお気軽にご応募ください!

https://herp.careers/v1/tver

*1:今は相当泥臭いフェーズだと思っています。

*2:ただし(一般化できない)コード負債の回収のような表面的な課題は範囲外としています。