こんにちは、TVer レコメンドエンジン担当の由井です。 こちらは TVer Advent Calendar 2023 の23日目の記事です。
なぜレコメンドなのか?
今年の5月からTVerにジョインして、レコメンドエンジンの開発に携わらせて頂いていますが、そもそもなぜ自分がレコメンド開発に携わることになったのかや、レコメンドエンジンにかける想いを、初心を忘れないためにも、つらつらと書かせてもらえたらと思います。 ただのポエムですのでイブ前ということで気軽に読んで頂けたらと思います。
ヨーロッパでの再発見
自分は、元々、ヨーロッパの歴史や新しい事を経験する事が好きだったため、あまり計画せずに現地企業に転職したという過去がありまして、数年間の経験を通じて現地の文化や価値観に触れることができ、その素晴らしさを経験してきましたが、同時に日本の持つ素晴らしさも再発見することができました。例えば、日本は周りの人間と上手く協力して行動することができたり、新しい価値観を受け入れる寛容さを持ち合わせていると思います。そこから派生したアニメや漫画、その他伝統文化といった日本発祥のコンテンツは、今、世界中から高い支持を得ることができています。
TVerとの出会い
そんな日本に貢献したいという思いが強くなり、日本国内で大きなインパクトを持つ企業で働きたいと考えていた時、
「テレビを開放して、もっとワクワクする未来を。TVerと新しい世界を、一緒に」 という理念を持つTVerの素晴らしいメンバーに出会う機会がありました。
レコメンドエンジンで日本を元気に
今、日本は直近30年の統計で見ると、先進諸外国と同様の成長率を維持できていない現状があります。
私見ではありますが、日本では、かつてのような期待に胸膨らむような夢のある明るいニュースよりも暗い気持ちになってしまうニュースがどうしても増えてしまっているのではと感じています。
日本にはアニメや漫画など、まだまだ世界に誇れる素晴らしいものが確かに存在しているにもかかわらず、必ずしも良い結果に結びついていない原因としては、
ユーザーと情報、ユーザーとユーザー、情報と情報といった因果の無限の網の目のような複雑な関係が絡み合っていて、それら一つ一つの火花ともベクトルとも言えるような小さな方向性の単位が、大きな社会の方向性を作り出しているんだと思います。
そしてその大きな川の流れのような社会の方向性が、日本の行く先を決定づけているのだとするならば、それらの火花の方向性を変えるためには、小さな火花の方向を少しずつ揃えていく必要があって、自分が携わるレコメンドエンジンは、個人的には、それぞれの火花であるベクトルの方向性を揃えていくことで、やがてはユーザー全体の大きな流れを良いベクトルに揃えることができる素晴らしい技術だと考えています。
自分はレコメンドエンジン開発を通じて、小さな火花を揃えて、より大きな火花にしていき、ひいては日本のユーザー全体の火花を揃えることで、日本全体がもっとわくわくできて、もっと元気になるような日本のエンジンを作りたいです。
MLOpsへの取り組み
一方、話は変わって、自分がPLとしてAWS上で現在取り組んでいるMLOpsは、多くのメンバーが関わる必要のある非常に大きな枠組みですので、自分ひとりでは成し遂げることができず、だからこそ、スペシャリストであるメンバー一人一人の力が必要だと考えています。
幸い、今、自分の周りには、リスペクトに値するようなスキルとマインドを持った本当に素晴らしいスペシャリストの方々がいらっしゃって、様々な想いを持って業務に従事されています。
それらの想いは、個別の数値目標として表現されているのかもしれませんが、ここで視点を1歩引いて、その想い一つ一つを深掘りしてみると、それぞれが、「サービスを良くしてユーザーに良いものを届けたい。TVerを良いサービスだと思ってもらいたい」というピュアな熱い想いを持って行動されている方たちなんだなという気づきがありました。
チーム1人1人の想いの火花を同じ方向に揃えることができれば、1人では決して成し得ない大きな力となり、1つ1つはたしかに小さな1歩しかもしれませんが、私達のその1歩1歩が、やがてユーザーの心に響くサービスの形として繋がっていく。だからこそ、小さな火花を大事にしながら毎日の作業に励んで行きたいと思います。
カンパニーという言葉の語源について
話は変わりますが、私自身、歴オタでして、それが高じてヨーロッパに移住を決意したことがあるような無計画なタイプの人間なのですが、特に語源学(Etymology)という、それぞれの単語がどのような歴史的な経緯で生まれ、変遷していったのかを研究する学問なのですが、自分をそれを追いかけるのが週末の楽しみという珍しい趣味を持っています。
その中で、自分が好きな言葉の一つに、カンパニー「Company」という言葉があります。日本では「会社」という意味が最も一般的に通じる意味かもしれません。 カンパニー(company)は、12世紀中頃、「共にパンを食べる仲間」という意味の後期ラテン語のcompanioから派生した言葉であり、これは、ラテン語の「共に、一緒に」を意味するcomという言葉と、「パン」を意味するpanisを組み合わせた言葉となります。
com + panis = copanio(共にパンを食べる仲間)
ここでの「パン」とは、教会のミサで食べるパンのことであり、companyとは、同じ教会に通い、同じ信仰を持ち、苦難を共にして助け合う人たちの集団のことを、元来指していた言葉でした。
その後、大航海時代に入ると、同じ船に乗り、リスクを承知で海の向こうに出かけて貿易をする夢追い人たちが現れました。
彼らは、未知の海に漕ぎ出すリスクもそれを乗り越えた後の莫大な利益も公平に分け合う仲間たちという意味で、自分たちのことを「カンパニー」と呼びました。 それがやがて「会社」という意味に転じていったそうです。
つまり、「カンパニー」というのは、ただの「会社」ではなく、「リスクに対して、それぞれができることを力を合わせて乗り越え、共に利益を得ていく集団」という意味を持っているんだと思います。
TVerの中では、
「我々は仲間である。1人で早く。よりも、みんなで遠くへ。」
という言葉があります。 自分が好きな言葉で、カンパニーという言葉にも通じる良い言葉だと思います。
最後にレコメンドへの抱負
時は流れ、カンパニーという言葉の定義は移り変わっていき、本来の意味でのカンパニーと呼べる気概を持った企業が、果たしてどれほど存在するのかは定かではありませんが、 だからこそ私達は、大きな変化の時代の中でも、メンバーそれぞれの火花の方向性を揃えて同じ船に乗り、共に困難を乗り越えていくことで、今後もユーザーに素晴らしい価値を提案し、社会から選ばれるカンパニーであり続けられたらと思います。